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Origin of NEXUS

今回の1U衛星プロジェクトでは,JAMSATとの連携により今まで大学が弱かったアマチュア衛星としての意義を補い,日本大学で開発したSEEDSやSEEDS-IIの開発・運用技術,また後継機のSPROUTの開発技術を継承し,また外部とのアウトリーチ交流での結び付きを大切にしていきたいと考えています.そういった思いから,我々は「連携,継承,結び付き」という意味を持つ「NEXUS」という名称をつけました.NEXUSは「Next Education X(クロス) Unique Satellite」という造語の略語です.

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Background

【日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)の衛星開発の活動】

1957年のスプートニク1号の打ち上げを皮切りに1961年のOSCAR-1号をはじめ,アマチュア衛星は55年間(2012年時点)で140機以上のアマチュア衛星が打ち上がっています.JAMSATでは過去3回アマチュア衛星に搭載機器の設計,製作した実績があり,1970年代にはAMSAT-OSCAR-8号(AO-D)に搭載されたUplink145MHz帯・Downlink435MHz帯のJモードリニアトランスポンダを,1980年代にはFuji-OSCAR-12(JAS-1)に搭載されたAX.25プロトコルによるパケット通信機器と従来のリニアトランスポンダを,1990年代にはAMSAT-OSCAR-40号(Phase-3D)に搭載された3-CCDカラーカメラ(SCOPE)を設計,製作しています.ですが,1990年代以降,JAMSATでは衛星製作関係の活動は以前と比べると活発には行われていません.


図1 JAMSATの携わった衛星(左:AMSAT-OSCAR-8,中央:Fuji-OSCAR-12,右:AMSAT-OSCAR-40)(AMSAT - The Radio Amateur Satellite Corporation HPより)

図1 JAMSATの携わった衛星
(左:AMSAT-OSCAR-8,中央:Fuji-OSCAR-12,右:AMSAT-OSCAR-40)
(AMSAT - The Radio Amateur Satellite Corporation HPより)


【大学の衛星開発の活動】

大学での開発を行っているアマチュア衛星としては,東京大学,東京工業大学をはじめとした多くの大学で現在開発が進んでいます.その中で多くの衛星が通信にはアマチュア無線帯を使用しており,それは

  • ●アマチュア無線帯の通信機器は比較的安価で地上局アンテナ等も設置が容易で安価であること.
  • ●ネットや文献でアマチュア衛星の運用のノウハウが公開されていること.
  • ●アマチュア無線やアマチュア衛星通信関連のイベントに参加すると多くの無線技術を持った方と話せ,貴重な意見・知識を得られること.
  • ●実際に衛星を打上げた際,衛星の特定に国内外にいるたくさんのアマチュア無線家の方々の協力を得られること.

などと大学側にはとてもメリットがあるためです.ですが,本来アマチュア無線帯を利用するからには,国際法や日本の電波法で定められている通り,我々も含め多くのアマチュア無線家の人達に無線技術の鍛錬の場として利用していただき,楽しんでいただける場の1つとなる様に考えるべきであります.これまでに日本大学でも試行錯誤し,衛星の開発を行っているが,それでも必要十分ではないと考えています.

【日本大学の衛星開発の活動】

日本大学超小型衛星開発プロジェクトチームでは,2006年に1機目の超小型人工衛星「SEEDS」が開発されました.(SEEDSはロケットのエンジントラブルにより軌道不到達)2008年には2機目にあたる「SEEDS-Ⅱ(CO-66)」が開発・打ち上げられ,現在でも学生が運用を続けています.また,SEEDSで得た衛星開発の技術を活かし,2014年には複合膜面構造物の宇宙技術実証を行う超小型人工衛星「SPROUT」の打上にも成功しています.


図2 日本大学が開発したCubeSat

図2 日本大学が開発したCubeSat(左:SEEDS,中央:SEEDS-II,右:SPROUT)

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Mission

本プロジェクトでは,日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)と日本大学による共同開発を行います.JAMSATではミッション機器である通信機(リニア・トランスポンダとπ/4シフトQPSK送信機)を開発し,日本大学ではバス系の開発を担当します.これまでに本団体に蓄積した技術を整理・継承しつつ,超小型人工衛星「NEXUS」の開発を進めていきます.本プロジェクトのミッションは以下の3つです.

  • (1)π/4シフトQPSK送信機(435MHz帯,38.4kbps)の動作実証
  • (2)リニア・トランスポンダ(Up:145MHz,Down:435MHz,FM)の動作実証
  • (3)多機能・高汎用性カメラシステムの動作実証

(1)π/4シフトQPSK送信機(435MHz帯,38.4kbps)の動作実証

アマチュア無線帯を使用しπ/4シフトQPSKによりデータダウンリンクを行う.従来アマチュア無線通信で主流であった通信速度(1200~9600bps)に対して,その優位性を評価する.また,ソフトウェアを用いた復調環境の整備により,広くアマチュア無線家に公開し,利用して頂くことを目指す.

(2)リニア・トランスポンダ(Up:145MHz,Down:435MHz,FM)の動作実証

国内外のアマチュア無線家に広く運用情報を公開し,アウトリーチ交流を積極的に行う.

(3)多機能・高汎用性カメラシステムの動作実証

新規選定したカメラモジュールを中心に,機能性の高いカメラシステムを構築する.地球画像の撮影を行い,アウトリーチ活動にも活用する.

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Success Level

NEXUSのSuccess Levelは以下の通りです.

【Minimum Success】

  • (1)π/4シフトQPSK送信によるダウンリンク
  • (2)リニア・トランスポンダの運用
  • (3)カメラシステムの動作実証

(1)π/4シフトQPSK送信によるダウンリンク

評価用データのダウンリンクを行い,実際にデコードできたかどうかで判断.デコードにはハードウェアとソフトウェアの両方を利用する.

(2)リニア・トランスポンダの運用

アマチュア無線家からの利用報告をホームページにて募り,中継器として利用できたかで判断する.

(3)カメラシステムの動作実証

地球の写真撮影を行い,画像データをダウンリンクすることにより,カメラシステムの動作実証を行う.

【Full Success】

  • π/4シフトQPSK通信環境の導入は,アマチュア衛星通信の高速化に有効であり,かつ,低コストで実現できることを示す.

●ダウンリンクデータ量が従来多く利用されてきた変調方式であるAFSK,GMSKに対して優れていることを示す.

●ソフトウェア無線およびソフトウェアTNCの利用により,簡易にπ/4シフトQPSK通信環境の導入できることを示す.

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