マチュア無線周波数帯を利用することについて

私たち(日本大学CubeSat開発プロジェクト)が開発した超小型人工衛星は、アップリンクに144MHz帯、ダウンリンクに430MHz帯のアマチュア無線周波数帯の利用する予定です。私たちは、以下の考え方に基づき、アマチュア無線周波数帯の利用を進めています。

  当社団局(日本大学理工学部航空宇宙工学科アマチュア無線局)はアマチュア無線従事者を含む 学生の手により自主製作した超小型人工衛星にアマチュア無線通信を行う人工衛星局を開設し,この人工衛局を利用してアマチュア無線周波数帯による無線運用を行うことを希望する.この無線運用は,金銭上の利益を目的とするものではなく,多くのアマチュア無線従事者が当社団局が提供する人工衛星を利用することで個人的な無線業務の興味を大いに啓発され,無線通信技術の自己訓練および研究を促進することを目的とするものである.
  当社団局はこの目的を達成するため,次の2つの項目を実施する.
    (1)当社団局のアマチュア無線従事者も含め,アマチュア無線従事者全体に対して無線通信技術の向上
         および研究の機会を提供すること.
    (2)当社団局のアマチュア無線従事者が,他のアマチュア無線従事者との技術的交流を行いながら人工
         衛星局の運用することで,自身の無線通信技術の自己訓練および研究を行なうこと.
(1)の実施項目の具体的な内容は次の通りである.
  1) 当社団局の人工衛星局は,人工衛星の状態データを地上のアマチュア無線局に対してCW送信機を用い
      て送信する.また,当社団局はインターネット等を通じて送信したデータの内容に関する情報を公開する.
      アマチュア無線従事者は,このCWデータを受信し,当社団局が公開するCW送信データに関する情報をも
      とに,自身のCWデータの受信技術を評価し,受信技術の向上を促進する.
  2) 当社団局の人工衛星局は,人工衛星に搭載したセンサー(温度センサ,角速度センサ,地磁気センサ等)
      が取得したデータを地上のアマチュア無線局に対してFM送信機を用いてパケット送信する.また,当社団
      局はインターネット等を通じて送信したデータの内容に関する情報を公開する.アマチュア無線従事者は
      このFMパケットデータを受信し,当社団局が公開するFMパケットデータに関する情報をもとに,自身のFM
      パケットデータの受信技術を評価し,受信技術の向上を促進する.
  3) 当社団局の人工衛星局は,予め地上で録音された音声データを記録したデジコーダを搭載する.そし
      て,この音声データを地上のアマチュア無線局に対してFM送信機を用いて送信する.アマチュア無線従
      事者は,この音声データを受信し,内容および受信状況を確認・評価することで,受信技術の向上を促進
      する.
  4) アマチュア無線従事者は,当社団局の人工衛星局が送信する1)〜3)のデータの受信状況をアマチュア
      無線従事者同士で比較し合うことで,自身の無線局設備の質の向上に役立てることが可能となる.また,
      受信状況から当社団局の人工衛星局の軌道や姿勢状態を推定するなど,無線技術の利用方法に関する
      研究を行なうことも可能となる.その際,当社団局は自身の地上無線局の受信結果および,人工衛星局
      への送信結果,さらに,人工衛星局の特性データ等,アマチュア無線従事者が必要とする情報をインター
      ネット等を通じて公開し,議論をすることで,多くのアマチュア無線従事者の通信技術の自己訓練および
      研究の促進に寄与する.
  5) 当社団局以外のアマチュア無線従事者は,自身の地上無線局では人工衛星の無線運用は行なえないも
      のの,当社団局の構成員との情報交換や議論と通じて,衛星通信技術や,人工衛星無線運用に必要な
      技術と知識を身につけることが可能となる.
次に,(2)の実施項目の具体的な内容は次の通りである.
  6) 当社団局の構成員はFM送信機を用いて,当社団局の地上無線局から当社団局の人工衛星局に制御コ
      マンドを送信する.この送信データの人工衛星局による受信状況を確認・評価することで,人工衛星局と
      の交信技術および人工衛星の無線運用技術の向上を図る.
  7) 人工衛星の無線運用技術の向上には,より多くのデータを人工衛星局から受信することが重要となる.し
      かしながら,当社団局の人工衛星局の運用軌道の特性により,当社団局の地上通信局が当社団局の人
      工衛星局からのデータを受信する場合,通信可能時間は限られたものとなる.そこで,多くのアマチュア
      無線局に各地でそれぞれ受信していただき,それらのデータおよび受信状況に関する情報を当社団局と
      共有していただくことにより,当社団局の構成員の人工衛星無線運用技術の自己訓練に役立てることが
      できる.

  当社団局の人工衛星局の特徴としては,デジトーカを搭載し音声データを送信することが挙げられる.音声データは,数値データとは異なり,受信した瞬間に内容を把握することができる.また,音声データの内容は,人工衛星に関する技術的なものではなく,人工衛星局の紹介など,理解するのに専門知識を必要としないものであるので,より多くのアマチュア無線従事者がより楽しく無線技術の訓練を行なうことができる.
  また,当社団局が教育機関内にあり,当社団局の構成員が航空宇宙工学を専門とする教員および学生であることから,宇宙工学と衛星通信技術とを絡めて情報を公開することができ,より多くのアマチュア無線従事者および国民に無線通信に関する理解を深めていただく機会を提供することができる.

以上