力解析

   
 

  SEDDSは現在,当初懸念されていた「発電電力不足」とは裏腹に,「過充電状態」が続いています.SEEDSの軌道一周回分の発電電流履歴とCW,デジトーカ,シャントの消費電力量は下図のようになります.
  図のデータより求めた軌道周回時の平均発電量は449.23[mA]です.これと隣の表を見比べるると,CW実行時でもシャントが働けば消費電力が発電量を上回ることになります.しかし,実際はシャントは常にONの状態ではなく,電圧を確認するためにON/OFFを繰り返しています.その結果,消費電力が発電量を下回っているのです.

 
 

軌道一周分の発電電流値履歴

 

 解析

 
  初期軌道投入時センシングデータ
    4月28日にPSLVによって打ち上げられたSEEDSは,初期軌道投入後30分間のセンシングを行い,その後,電池電圧・温度データのダウンリンクを行いました.下に示す3つのグラフはその結果です.
 
  外表面温度 内部機器温度 外表面とLi-ion電池温度
 
    「外表面温度」のグラフを見てみると,600秒後のSolar Cell 3の温度にノイズが乗っている.これはSEEDSが軌道投入600秒後にCWを送信し始めたためであると考えられます.また約1000秒後から太陽電池パネルの温度が下がり始めていることも同図から読み取れますが,こちらはSEEDSが日照から日陰に入った結果です.
   「内部機器温度」のグラフを見てみると,内部機器の温度は-10[℃]〜30[℃]の間に収まっており,許容温度範囲を超えていないことが確認できます.最後に,「外表面とLi-ion電池温度」を比較した最右図のグラフを見てみると,日陰であるにもかかわらずLi-ion電池の温度はほとんど低下していないことがわかります.これは,断熱材や無線機により温度が保たれているためであると考えられます.
(※温度変化を極力抑えるために,Li-ion電池の周りには断熱材と熱を発する無線機を配置している)

 

  軌道一周期分センシングデータ(地磁気&ジャイロあり)
    2008年8月12日に,軌道上のSEEDSの状態を確認するために一周期分のセンシング(地磁気センサ・ジャイロセンサ共にONの状態での)を行いました.
 
  外表面温度 内部機器温度 外表面とLi-ion電池温度
 
    「外表面温度」のグラフを見てみると,外表面温度が日照・日陰の影響で周期的に変動していることが分かります.また,今回はCWの送信を止めた状態でセンシングを行ったため,軌道投入直後のデータに見られたようなノイズは現れていません.
  次に「内部機器温度」のグラフを見てみると,ジャイロセンサの温度データにノイズが乗っていることが分かります.このノイズの原因は不明ですが,センシングを行う際,地磁気センサとジャイロセンサ動作させていたため,それが何かしらの影響を与えているのではないかと結論付け,次の軌道一周期分のセンシングは地磁気とジャイロを動作させず行うことになりました.ジャイロ以外の温度データには特にノイズは乗っておらず,SEEDSの許容温度範囲を超えていないことが分かります.
  最後に「外表面とLi-ion電池温度」のグラフを見てみると,Li-ion電池温度は軌道投入直後より低下してはいるものの,日照・日陰に関わらず-5[℃]〜10[℃]の範囲で温度が保たれていることが分かります.

 

  軌道一周期分センシングデータ(地磁気&ジャイロなし)
  前回(8月12日),軌道一周期分のセンシングを行った際,ジャイロの温度データに異常が見られました.今回(2008年11月12日)はその原因を追及するために再度,地磁気センサとジャイロセンサをOFFの状態で軌道一周期分のセンシングを行いました.
 
  外表面温度 内部機器温度
 
    上に示したグラフを見てみると,外表面温度および,内部機器の温度は8月12日にセンシングしたデータと同じような値をとっています.また,ジャイロ1のデータには8月12日にセンシングした時と同様なノイズが乗っていることもわかります.今回のセンシングでジャイロは動作させていないため,温度計測側(センサ,A/Dコンバータ等)に問題があることが考えられます.
  これらのセンシングデータをみると,外表面温度-30[℃]〜-35[℃],内部機器は-10[℃]〜30[℃]という温度範囲にほぼ収まっています.特に,Li-ion電池に関しては衛星構体の中心部に配置し,断熱材と発熱する無線機で周囲を覆うという熱対策を行っており,-5[℃]〜-10[℃]の間に収まっている.
  これらの結果からSEEDSの熱設計の妥当性が確認できたといえます.