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SPROUT

    【開発背景】
    日本大学の学生による衛星開発チームは既に2006年,2008年にCubeSatを開発・打ち上げし,2008年の「SEEDS-II」は現在も学生が運用を続けており,学生の宇宙工学教育のみならず,アマチュア無線家一般の方々や高校生以下の子供たちへの宇宙工学/利用の啓蒙,海外の研究者などとの技術交流に貢献してきました(1機目の「SEEDS」はロケットのエンジントラブルにより軌道不到達).これらの衛星に加え,2006年度にはインフレータブルチューブを展開させ,これに取り付けた膜面が受ける空気抵抗を変化させることで,軌道を変化させるというミッションを目的とした50kg級の小型人工衛星“PRIMROSE”の設計を行い,衛星設計コンテストの最優秀賞である設計大賞を受賞いたしました.
    昨今,インフレータブル構造物は将来の移動体端末やレーダー,宇宙通信に利用可能な巨大アンテナや太陽エネルギで発電するための高面積太陽電池パネルなど,大型宇宙展開構造物建設の実現に向けて研究開発が盛んに行なわれている複合膜面構造物という次世代の宇宙構造物の研究分野です.近年,宇宙環境にも長期間耐えられる材料製造技術の進歩があり,実用化に向けてのハードルが低くなったという背景があるためです.現在までに数々の衛星で使われている伸展ブームと同様にビーム構造を実現することは同じですが,インフレータブルチューブはチューブ形状に自由が利き,複雑なビーム形状も容易に実現できるという点で異なります.
    またインフレータブル構造物は,軽量・高収納性といった特性より,スペースや重量の制限がより厳しい小型人工衛星で利用されることでその特性を最大限に活かすことができると考えています.しかし,インフレータブル構造物の宇宙利用は未だに実績が少なく,その収納・展開方法などは研究段階というのが現状です.研究を進めていく上で,超小型人工衛星は構想から開発,実行までの時間が短縮でき,開発を迅速に行うことができるというメリットがあることと,ピギーバックの形態を用いることによって低コストで人工衛星を打ち上げられるというメリットを持っています.
    そこで,本衛星は小型人工衛星におけるインフレータブルチューブの基礎技術実証試験の先駆けとなるよう開発を進めています.