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SPROUT



    【衛星開発】
    SPROUTは複合膜面構造物の展開という最先端の技術実証だけでなく,大学での学生主体の衛星開発を通じた人材育成を主目的としており,特に,昨今,大学によるH-IIA相乗り小型副衛星の成功率が高くないことを鑑み,学生による衛星開発手法自体を提案することも狙っています. 日本大学宮崎研究室では,学生の宇宙工学教育とバス部の技術実証を主な目的として,学生がCubeSat「SEEDS-II」を開発し,それを2008年に打ち上げました.打ち上げから4年経った現在も,SEEDS-IIの運用は学生が日々続けており,SEEDS-IIは実機運用やアウトリーチ活動を通じた学生の育成に大いに役立っています.このSEEDS-IIで得た技術を基礎に,以下の3点を目的としてSPROUTを開発しています.

    • 超小型人工衛星を研究成果等の軌道上実証の場として利用するための方法論・設計論の構築,一例として,将来の大型軽量宇宙構造物に必要となる複合膜面構造物の展開実証
    • 大学で学生が継続的に衛星開発を行う手法の提案と技術継承方法の実証
    • 衛星の研究・開発ならびに衛星を利用したアウトリーチ活動を通じた宇宙分野の人材育成

    【開発の流れ】
    次に,超小型人工衛星「SPROUT」の開発の流れを紹介します.衛星のシステムや打ち上げに向けてやることの漏れがないように段階的プロジェクト計画(Phased Project Planning)と呼ばれる開発方式を超小型人工衛星開発に適用して行っています.これは1960年代から1990年代にかけて,米国航空宇宙局(NASA)の開発プロジェクト「アポロ計画」で適用された開発方式です.
    衛星開発はまず,“どのようなミッションを行う衛星を開発するのか”“それを満足するためにはどのようなシステムが必要なのか” “そのシステムを満足させるためにはどのような機器・サブシステムとなるのだろうか”といった「概念設計」を固めることから全てが始まります.そこで最初のマイルストーンとしてMDR(Mission Definition Review)と呼ばれる「ミッション定義審査」を行います.それが終了すると,より詳細な(各サブシステムを含め)衛星のシステム,さらにはプロジェクト全体のシステムの設計「システム設計」を行います.そこで次のマイルストーンとしてSDR(System Definition Review)と呼ばれる「システム定義審査」を行います.審査を無事通過した後,設計した通りに開発を行って“BBM(Bread Board Model)を作製して”,放射線や真空・高(低)熱といったような特殊環境下でもうまくシステムが動作するのかを調べる「BBM環境試験」を行います. BBMでの動作確認が完了した後,マイルストーンとしてPDR(Preliminary Design Review)と呼ばれる「基本設計審査」を行い,今度はいよいよEM(Engineering Model)の「基本設計」「構体製作」「環境試験」を行います.衛星の各システムの動作確認を行うBBMの段階とは違い,EM製作では初めて寸法・形状・重量等も本番機同様に作製する為,ここで初めて“衛星「SPROUT」”のフォルムが姿を現わします.EM製作・環境試験などが一通り終了し,マイルストーンとしてCDR(Critical Design Review)と呼ばれる「詳細設計審査」を行い通過した後,いよいよ実際に宇宙空間に打ち上げるFM(Flight Model)の製作です.ここでの作業はいままでのどの工程よりも慎重かつ丁寧に行う必要があることはお分かりいただけると思います.以上のような工程を経て,衛星“SPROUT”の開発は行われています.