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SPROUT



    【データ公開】
    このページでは,衛星開発において確認しなければいけない項目である環境試験画像や映像と解説, そして,軌道上での解析データを公開いたします(画像はクリックで拡大します).


    0 膜面展開結果


    膜面展開速報(第一報)を公開いたしました(2015年10月13日).内容につきましては,以下のPDFをご覧ください.

    1 衛星開発の流れ


    各種試験について話す前に,衛星開発におけるプロセスを以下に示します.流れと各フェーズの内容をザックリと書くとすると,以下のようになります.

    @概念設計・・・どのようなことを達成するものを作るのか,またその意義や社会的位置づけを議論し,最終的に達成させたい機能をここで固めます.
    AMDR(Mission Design Review)・・・概念設計の妥当性を検証します.
    Bシ・Xテム設計・・・概念設計で決めた「達成させたい機能」を具体的にどのような方法で達成させるのかを決めます.
    CSDR(System Design Review)・・・システム設計の妥当性を検証します.
    DBBM(Bread Board Model)製作・・・システム設計で決めた方法を実際に作り,動作することを確認します.サブシステム毎の動作確認が取れたら,それらを全て統合し,1つのものとして動作することを確認します.
    EPDR(Preliminary Design Review)・・・内部システム,ここまでの検証の妥当性を検証します.
    FEM(Engineering Model)・・・機能確認が取れたものを実際の構体サイズに収まるように再制作し,構体上の設計を固めます.更に出来上がったEM機を用いて,環境試験を行います.
    GCDR(Critical Design Review)・・・すべての設計,ここまでの検証の妥当性の検証をします.
    HFM(Flight Model)・・・本物の打ち上げ機の作成を行います.動作確認後,ロケット側の要求する試験を行い,クリアすれば,打ち上げとなります.

    一般に,上記のプロセスを経て衛星は打ち上げられます.開発初期においては手を動かして作るというよりも,「考える」,「調べる」,「纏める」,「解析して数値的根拠を出す」ということを行います.その後に,「設計」したものを,「製作」して目的と要求を満たしているかを試験して確認します.
    このページでは後者の方に焦点を当て,多くの皆様に,「このような試験を行い,チェックするのか!」というイメージを掴んでいただけたらと思います.

    図.開発の流れ

    2 EM試験


    2.1 振動試験
     人工衛星の環境試験としての振動試験には大きく分けて2つあり,1つが正弦波振動試験,もう1つがランダム振動試験です.正弦波振動試験は,振動数などをある範囲・烽ナ・A続的に変化させながら対象を振動させる試験で,対象の共振点探索などに用いられます.一方ランダム振動試験は,位相と振幅が変化した正弦波形を不規則に重ね合わせたランダム波を対象に作用させる試験で,実際の振動により近い振動環境を再現することができ,同時に多くの振動数成分での対象の応答を見ることができます.
     ロケットはエンジンでの燃焼を推進力にして大気中を高速で移動するため,エンジンでの燃焼や大気との摩擦によってロケットは激しく振動しており,ロケットのフェアリングに搭載されている衛星もその振動を受けます.衛星が振動することによって他衛星に被害を与え・驍謔、な破壊・故障が起こらないこと,動作不良を起こさないこと等を確認するために,上記2つの振動試験を行うことで衛星の局所的な破壊,部品の脱落,共振の有無,試験後の動作確認などを行うことが振動試験の目的です.
    2.2 真空環境試験
     宇宙空間は非常に大気の薄い高真空度な状態であるため,衛星のシステムが真空中で正常動作することを確認する必要があります.そこで,地上で真空状態を作り出せる真空槽に衛星を入れ,各システムが真空内でも正常に動作し,各部品が真空状態でも破裂,破損しないことを確認する試験です.
    2.3 恒温槽試験
     軌道上の人工衛星は太陽が当たっている部分と当たっていない部分の温度差が激しいために,人工衛星の内部機器は温度差の激しい環境に曝されることになります.全ての電子部品や機器には正常に動作する温度範囲というものがありますので,厳しい温度環境に曝されても正常に動作することを事前に確認することが必要になります.そのための試験です.
    2.4 衝撃試験
     衛星はロケットからの振動以外にも,ロケット分離の際に衝撃を受けます.衝撃試験は地上において模擬し,衝撃に耐えうるかを検証します.

    3 FM試験 and EM機を用いた確認


     FM試験では,上記と同様の試験+αを行いました.また,現在,EM機を用いて,膜面展開のフェーズの確認を行っております.ここでは行った試験の一部の風景と動画を掲載します.

    4 軌道上データ


     この項目では軌道上で撮影された画像や初期センシングデータ等について掲載致します.新たなデータが取れ次第,随時更新致します.尚,SSTVで送信いたしました画像につきましては,こちらでもご覧いただけます.

    5 参照


     本文章を書くにあたり,参考にした文献を以下に示します.  
    1.宮崎康行,”人工衛星を作る”,オーム社,2011
    2.茂原正道,”衛星設計入門”,培風館,2002